ガットと農業の関係 5
その意味では、これはガット諸原則のなかではやや異質な原則であり、人によってはこれはガットの基本原則ではないとするものもいます。
たとえばガットの現事務局長であるダンケル(A.Dunkel)は「相互主義はつねに主観的な概念であり、双務的なものではない.明確な定義もできない」として、これをガット原則から排除しようとしています。
それにもかかわらず、これがガット原則に加えられているのはもっぱら交渉の便宜上の理由によるものとみていいでしょう。
つまり具体的な関税交渉を進めるに当っては、「相互の利益を考慮してギブ・アンド・テイクの原則に基づき、取極を結ぶ」方が、事がよりスムーズに運ぶでしょう。
そうした現実的配慮の下に挿入されたのがこの相互互恵原則です。
もっとも、相互に異なる関税水準・体系にある二国にとって、何が相互互恵であるかについては論議が岐れるところです。石塚孝一氏によると、その点ではこの原則の性格はかなり曖昧です。
・・・以上にみたように、ガットの基本原則とは商品経済の論理、市場経済の原理であり、これをガットは加盟国へのさまざまな規制を通じて世界経済の場におし拡げようとしているのです。
とするならば、ガットはそれを具体的にどのような法体系を通じて実現しようとしているのでしょう。